骨盤固定具を使用することにより、骨盤 内臓器からの出血や骨折端から出血に対して、間接的な圧迫による止血効果が期待でき る。 また、動揺に伴う疼痛を軽減できる。 そのため、骨盤骨折の可能性のある外傷で、 初期評価にてショックがある場合には、早急に骨盤の固定を行い、迅速な搬送を行う。
骨盤骨折 なぜショック?
骨盤骨折に伴う出血性ショックとは、「骨盤を骨折したことによって大量に出血をして、主要な臓器に必要な血流が維持できなくなり、細胞機能が保てなくなる」という症候群です。 出血性ショックを引き起こして死亡する例は、珍しくありません。 骨盤骨折の死因の50%は出血であると報告されています。
骨盤骨折の治し方は?
骨盤周囲を一定の圧力で圧迫する器具や、創外固定と呼ばれる骨折部を体外で仮固定する器具を用いて、骨折部を安定化させることが止血の基本になります。 さらに、血管造影を行い損傷動脈を見つけ出し、ゼリー状の物質や金属製のコイルを動脈内に挿入し人工的に閉塞させる処置(塞栓術)を行います。
骨盤骨折の病態は?
病態生理 骨盤骨は,前後の仙腸靱帯および骨間の線維性関節(靱帯結合)とともに輪を形成する。 骨盤骨折では,骨盤輪が破綻する場合もあれば破綻しない場合もあるが,2カ所以上で骨折が起きれば骨盤輪が破綻して,不安定性が生じる。
骨盤骨折の合併症は?
合併症 出血だけではなく、静脈血栓症(エコノミークラス症候群)や、手術創部の感染、神経血管損傷や骨癒合の遷延、長期の臥床に伴う合併症として肺炎や褥瘡・その他内科的合併症を生じることがあります。 また骨粗しょう症による二次的な骨折の発生なども挙げられます。