誤嚥は、さまざまな病気が原因となって生じます。 飲み込みの反射(嚥下反射)が障害されていたり、飲み込む力が弱い、あるいは食道を通過できない、といった状態が、誤嚥を引き起こします。 神経や筋肉の病気の初期症状である場合もあります。 また、のどの腫瘍(咽頭癌や食道癌など)でも誤嚥を生じることがあります。
誤嚥を起こすとどうなるか?
「誤嚥」し、「むせ」が起こっても気管に入った食べ物・唾液を出すことができずに、肺炎を起こすことがあります。 これが「誤嚥性肺炎」です。 特に、体力の低下した高齢者や脳血管疾患の患者様に多いといわれています。 また、はっきりとした「むせ」がなくても「誤嚥」がおこっており、「誤嚥性肺炎」となることもあります。
むせてしまうってどうしてなるの?
1. 「むせ」が起こる理由 食べ物が呼吸をするための管やその先の肺に入ってしまうと、息ができなくなったり、肺炎になったりするため、勢いよく空気を吐き出して食べ物を外に出そうとします。 この勢いよく空気を吐き出すのが「むせ」です。
誤飲するとどうなる?
何をどのくらい誤飲し、異物がどこにあるかによって対処法が異なります。 気道異物:何かを飲み込んだ後に突然咳きこんだり、声がかすれたり、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)が出ます。 小さい異物が細い気管支まで入り込むと咳や喘鳴が長引いて発熱するなど風邪に似た症状を呈する場合もあります。
嚥下障害の原因は何?
脳血管障害(脳梗塞・脳出血など)による麻痺や、神経・筋疾患、また加齢による筋力の低下などが主な原因です。
誤嚥はどのように起こりますか?
誤嚥は、起こるタイミングによって3つに分類されます。 食べ物を飲み込もうとする動きが始まる前に、だらだらと気道に食べ物が流れて行ってしまう場合。 食べ物を飲み込もうとしたときに、気道への通り道をふさぐタイミングがずれ、瞬間的に気道に液体などが入ってしまう場合。 飲み込んだあと、のどに残ってしまっているものが気道に入る場合。 では、この嚥下障害や誤嚥はどうして起こるのでしょうか? その原因は、大きく3つに分けられています。 食べ物の通り道の構造に問題があって、うまく飲み込めない場合です。 口内炎や舌炎、扁桃炎などで 通り道が腫れて しまっていたり、頚椎症や腫瘍などが 食べ物の通過を妨げる ことがあります。
誤嚥の危険性はありますか?
脳のダメージによる嚥下反射の障害、口や舌の動きの低下、意識障害や食事を認識できないといった原因があります。 パーキンソン病・脊髄小脳変性症・筋ジストロフィーなどの神経筋疾患の患者さんも同様に誤嚥の危険性が高いと考えられます。 喉・肺・心臓の手術などをうけて反回神経に障害が生じると声を出す声帯の部分の麻痺が起きて誤嚥しやすくなります。 もちろん、明らかな病気がなくても加齢により喉の反射や筋力が低下するため高齢者は誰でも誤嚥する可能性がありますが、特にこれらの病気の患者さんには細心の注意を払いましょう。
誤嚥は食事中に起こることはありませんか?
誤嚥は食事中にだけ起こるわけではありません。 誤嚥はどのような原因によって引き起こされるのかを確認しておきましょう。 飲みこむ力が弱くなっていたり、飲み込みの反射に障害があったりする場合に起こる誤嚥です。 食事の形態に気を付けるなどの方法で危険性を減らすことができます。 食事中だけではなく、口の中に残った飲食物を食後に誤嚥することもあります。 寝ている時に起こりやすい誤嚥です。 唾液と共に口の中の細菌を誤嚥してしまうことがあるので、寝る前の口腔ケアが大切になります。 睡眠中に胃液が逆流して誤嚥することがあります。 胃液により気道の粘膜が損傷してしまうため、肺炎を起こしやすい誤嚥です。 加齢による 嚥下 機能の低下以外にも誤嚥を起こすことがあります。
誤嚥防止術は適用されますか?
嚥下機能改善手術をしても嚥下機能の回復や改善が見られない場合は、「誤嚥防止術」が適用されます。 食道と気道を分離する手術で、名前の通り誤嚥の防止を目的としています。 しかし発声機能が失われるリスクがあるため、手術には医師による慎重な判断と、患者、家族の理解が必要です。