痔瘻(じろう)は、直腸と肛門周囲の皮膚をつなぐトンネルができる痔のことです。 肛門周囲に膿がたまる肛門周囲膿瘍が進んで慢性化すると痔瘻になります。 つまり、大腸と皮膚が肛門以外に出口をつくってしまった状態を痔瘻といいます。
痔瘻になるとどうなる?
歯状線のくぼみ(肛門陰窩〈こうもんいんか〉)から細菌が入り込むと、肛門腺が化膿し、その炎症が肛門周囲に広がって膿(うみ)がたまります(肛門周囲膿瘍)。 これが自然に破れるか切開することにより、膿が排泄されます。 そのまま治る場合もありますが、多くは膿の管(瘻管〈ろうかん〉)が残った状態となり、これを「痔瘻」といいます。
痔瘻を放置するとどうなる?
痔瘻ができてしまっている状態では度々腫れたり膿がたまって痛くなったりする事を繰り返します。 また、長期に放置すると「あな」の形状が(枝分かれしたり深いところに膿がたまるなど)複雑な形状になったり、がんの原因(痔瘻がん)となる事もあります。 このため、痔瘻が出来てしまっている方には通常手術をお勧めします。
痔瘻はなぜできる?
昔は、痔瘻は結核菌が起こす結核性の病気と考えられていましたが、現在では、便の中の大腸菌などの細菌に感染して起こるものが大半といわれています。 青年期から中年期の男性は筋肉が発達していて、いきむ力が強いので、勢いよく排便され、便が肛門腺窩に入り込む可能性が高いからだと考えられます。
痔瘻術後どのくらいで治る?
再発率は2%~5%程度です。 外来にて徐々にゴムを締めていき、最後にそのゴムが自然と取れたときに、治療完了です。 治療期間は平均3ヶ月程度ですが、半年程度かかる場合もあります。