肛門周囲に膿がたまる「肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)」が進み、慢性化すると痔ろうになります。 痔ろうの主な原因は、下痢などによって肛門の組織に細菌が入り込むこととされています。 歯状線には、「肛門陰窩(こうもんいんか)」と呼ばれる上向きのポケットがあり、粘液を出す「肛門腺」と呼ばれる腺があります。
痔ろうの種類はどれですか?
どの方法を選択するかは診察・検査の結果により決定します。 痔ろうはろう管の通り道によって、4つの種類に分類されています(隅越分類)。 Ⅰ型とⅡ型は単純痔ろう、Ⅲ型とⅣ型は複雑痔ろうと呼ばれます。 最も浅いタイプでろう管は皮膚のすぐ下を走ります。
痔ろうを完治させるには手術が必要ですか?
一度できてしまった痔ろうは、自然に治ることはありません。 生活改善や薬で治すことはできないため、痔ろうを完治させるには 手術 が必要になります。 痔ろうは肛門を締めたり緩めたりするのに重要な 肛門括約筋 を貫通しているため、どうしても括約筋を一部切り取らなくてはなりません。 かつては括約筋を大きく切除し、肛門を締める機能が損なわれることがありましたが、現在はできるだけ肛門本来の機能を残せるような手術が行われています。 ここでは主な3つの手術法を紹介します。 切開開放術 は、痔ろうの形が単純で、括約筋の比較的浅い位置を通っている場合に行われる手術法です。 痔ろうの管とともに括約筋を切除します。 括約筋の端を少し切る程度なので、肛門の機能に影響はありません。
痔(痔核)とはどんな病気ですか?
痔ろうはいぼ痔(痔核)、切れ痔(裂肛)とは独立した別の病気です。 症状は痛み、腫れ、膿、発熱が最もよく見られる症状で、かゆみが主体のケースもあります。 一方で、無症状の方もおられ、多彩です。
痔ろうの原因は下痢とされていますか?
教科書的には痔ろうの原因は下痢とされていますが、当院では便秘の方の痔ろうも多数経験しています。 なお、いぼ痔(痔核)は悪化しても痔ろうにはなりません。 切れ痔(裂肛)の中には浅い痔ろうになるケースがありますが、すべての切れ痔が痔ろうになる訳ではありません。 (Ⅰ型痔瘻を参照) 他のもっと軽度の痔が悪化して最後にたどりつくのが痔ろうである、と考えている方がおられますが、これは誤りです。 痔ろうはいぼ痔(痔核)、切れ痔(裂肛)とは独立した別の病気です。 症状は痛み、腫れ、膿、発熱が最もよく見られる症状で、かゆみが主体のケースもあります。 一方で、無症状の方もおられ、多彩です。 これは炎症の強さが変化することと、炎症による症状には個人差があるからです。