薬剤を経口投与すると血中濃度は吸収により増加し,代謝・排泄によって減少する. 反復投与すると血中濃度は増減を繰り返しながら徐々に上昇し,最終的に一定の範囲内で増減を繰り返すようになる(定常状態). この定常状態における血中濃度の最高値と最低値を,ピーク値およびトラフ値と呼ぶ.
トラフ値 なぜ?
2)トラフを推奨する理由は、 1日の血中濃度の幅があるためピーク値に達する時間を予測することが困難なため。 また、どの薬剤(内服薬の場合)でも、吸収における個人差は大きいので、吸収に影響のないトラフ濃度を測ることが多いため。 ●血漿タンパクによる血中濃度上昇評価が難しいため。
トラフ値 いつ?
トラフ値は投与前 30 分以内に採血を実施します。 ピーク値の測定は、組織分布が 完了した時点における血中濃度である投与開始 1 時間後、つまり、30 分で投与した場 合、投与終了 30 分後に採血を行うことを推奨します。
バンコマイシンのトラフ値は?
バンコマイシンのTDMにおける初回目標トラフ値は10~15 μg/mL1)ですが,腎機能障害の発現率はトラフ値が10 μg/mL未満であれば5%,10~15 μg/mLで21%,15~20 μg/mLで20%であるのに対し,20 μg/mL以上では33%で発現するとの海外からの報告があります2)。
TEICのトラフ値は?
要 旨 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌をはじめとするグラム陽性球菌感染症の治療に用いられるグリコペプチド系抗菌薬 であるテイコプラニン(TEIC)は,有効治療域の確認のために TDM が必要であり,近年の臨床研究より目標トラフ 値は 20 µg/mL 以上に設定するべきと考えられる。