胸水とは、胸腔(厳密には2つの胸膜の間)に液体が異常にたまることや、その液体自体のことをいいます。 胸腔に液体がたまる原因としては、感染症、腫瘍、外傷、心不全、腎不全、肝不全、肺血管の血栓(肺塞栓症)、薬物など、数多くあります。 症状には、呼吸困難や胸痛などがあり、特に呼吸やせきをしたときに現れます。
肺がん 胸水 なぜたまる?
滲出性胸水は、胸膜に炎症が起き、血管から水分やタンパク質などが染み出しやすくなるために起こるもので、肺がんや肺炎などが原因です。 胸水の色は淡い黄色から黄褐色、濁っているなどさまざまです。 漏出性胸水は、血管内の水圧上昇や血液中のタンパク質濃度が低下して浸透圧が下がるために起こるもので、心不全や肝硬変などが原因です。
心不全 なぜ水がたまる?
心不全による胸水貯留のメカニズムとしては、①右心不全による静脈圧上昇のために胸水の吸収が低下する場合と、②左心不全による肺静脈圧上昇のために生じた肺うっ血が高度になって、リンパ管からの排出を越えてしまい、胸膜腔への胸水産生が増加する場合とがあります。
胸水がたまるとどうなるの?
胸水の量が増えると肺を圧迫してしまい息苦しさの原因となります。 さらに大量になると心臓を圧迫してしまい,心不全の原因になりかねません。 胸水は胸部X線やCTで確認します。 胸水に対する治療はたまっている量と症状の有無で決まります。
胸水はどこにたまるの?
胸水は胸膜腔に溜まる 胸水は、臓側胸膜と壁側胸膜の間に溜まります。 臓側胸膜と壁側胸膜の間の空間は、胸膜腔と呼ばれており、胸水の貯留が生じるのはこの場所です。 なお、正常なヒトでも、胸膜腔には少量の胸水(約10mL~20mL)が存在します。