アルコール摂取量が日本酒にして「1日平均約1合未満」から、飲酒量が増えるにつれて、出血性脳卒中の発症率は段階的に増えていきます(図2)。 この理由としてはアルコールの血圧上昇作用以外に、血液を固まりにくくする作用が働いているためと考えられています。
脳出血はなぜ起こる?
一方の脳出血は、長年の高血圧や動脈硬化で脳の中の細い動脈がもろくなり、破れて出血してしまうことが主な原因です。 流れ出た血液が、脳内の神経細胞を圧迫し障害を引き起こします。 高齢者では、脳アミロイド血管症(脳血管に異常なたんぱく質が沈着する病気)によって血管がもろくなって破れ、脳出血を起こします。
飲酒 動脈硬化 なぜ?
アルコールは、肝臓内での中性脂肪(トリグリセライド)の合成を増加させます。 多量の飲酒により中性脂肪の合成が過剰になり、肝臓の外に分泌されて高トリグリセライド血症の原因となります。 一方、動脈硬化を抑える働きをする「善玉」のHDLコレステロールは、飲酒量の増加に伴って増加します2)。
アルコール 心筋症 なぜ?
毎日多量に飲酒する人は食事がおろそかになりがちで、栄養過多や栄養不足などの“栄養障害”をもたらします。 心筋細胞内のミトコンドリアでの代謝に必要なビタミンB1欠乏が起こりやすくなり、エネルギー産生効率が低下します。 ひどくなると心臓の収縮力が落ち、心不全に陥ります。 いわゆる“アルコール性心筋症”です。
脳梗塞 飲酒 なぜ?
アルコールには利尿作用があるので、体が水分不足に陥りやすい。 脱水状態になると、血液の粘度が増して血栓が出来やすくなり、脳梗塞を発症する危険性が高まるのだ。 長田氏の話では、高血圧や高脂血症、糖尿病など、他の脳梗塞の危険因子を持っていない人でも、過度の飲酒による脱水症状だけで、脳梗塞を発症することもあるという。