歯状線のくぼみ(肛門陰窩〈こうもんいんか〉)から細菌が入り込むと、肛門腺が化膿し、その炎症が肛門周囲に広がって膿(うみ)がたまります(肛門周囲膿瘍)。 これが自然に破れるか切開することにより、膿が排泄されます。 そのまま治る場合もありますが、多くは膿の管(瘻管〈ろうかん〉)が残った状態となり、これを「痔瘻」といいます。
痔瘻を放置するとどうなる?
肛門のほかに出口がつくられてしまう 常に大腸とつながっているので自然に治ることは期待できません。 さらに通常の痔と異なり、痔瘻を放置すると悪性化(痔瘻がん)に発展することがあります。 大腸がんのなか中でも最も予後が悪いので、お尻の病気だからと躊躇せずに、痔瘻が疑われる場合には早期に受診をお勧めします。
痔瘻術後どのくらいで治る?
痔ろうができた場所によって異なりますが、3か月半から半年ほどかけて治療を行います。 場合によっては1年ほどかかるケースもあります。 その間、2~3週間おきに通院し、ゴムひもを締め直したり交換したりする処置を受けます。 最終的にゴムが外れることで治療が完了します。
痔瘻は痛いですか?
痔瘻は、お尻がはれて激しく痛み、うみが出てくるという症状がくり返し起こります。
痔瘻 手術しないとどうなる?
ポイント③「手術しない場合は定期的に診察を」 まれに痔瘻から癌が発生することがありますので、手術をしない場合は定期的に当院を受診してください。
痔は発症しないのですか?
痔は、便秘や下痢、排便時の習慣、食生活などが大きく関わる病気です。 そのため、日頃の心がけと工夫で改善したり予防したりすることができます。 発症しないためのポイントは、排便時のうっ血・便秘を防ぎ、血流を良くすること。
痔ろうの種類はどれですか?
どの方法を選択するかは診察・検査の結果により決定します。 痔ろうはろう管の通り道によって、4つの種類に分類されています(隅越分類)。 Ⅰ型とⅡ型は単純痔ろう、Ⅲ型とⅣ型は複雑痔ろうと呼ばれます。 最も浅いタイプでろう管は皮膚のすぐ下を走ります。
もっと軽度の痔が悪化して最後にたどりつくのは痔ろうですか?
他のもっと軽度の痔が悪化して最後にたどりつくのが痔ろうである、と考えている方がおられますが、これは誤りです。 痔ろうはいぼ痔(痔核)、切れ痔(裂肛)とは独立した別の病気です。 症状は痛み、腫れ、膿、発熱が最もよく見られる症状で、かゆみが主体のケースもあります。 一方で、無症状の方もおられ、多彩です。 これは炎症の強さが変化することと、炎症による症状には個人差があるからです。 痔ろうで注意すべきは、痔ろうから起こる「痔ろうガン」 です。 痔ろうガンは比較的珍しいガンで、ほとんどが10年以上痔ろうを放置した後に発生します。 発生頻度はそれほど高くはないだろうと考えられていますが、正確な頻度は不明です。 痔ろうは、処置や手術になることが多い病気です。
痔ろうの原因は下痢とされていますか?
教科書的には痔ろうの原因は下痢とされていますが、当院では便秘の方の痔ろうも多数経験しています。 なお、いぼ痔(痔核)は悪化しても痔ろうにはなりません。 切れ痔(裂肛)の中には浅い痔ろうになるケースがありますが、すべての切れ痔が痔ろうになる訳ではありません。 (Ⅰ型痔瘻を参照) 他のもっと軽度の痔が悪化して最後にたどりつくのが痔ろうである、と考えている方がおられますが、これは誤りです。 痔ろうはいぼ痔(痔核)、切れ痔(裂肛)とは独立した別の病気です。 症状は痛み、腫れ、膿、発熱が最もよく見られる症状で、かゆみが主体のケースもあります。 一方で、無症状の方もおられ、多彩です。 これは炎症の強さが変化することと、炎症による症状には個人差があるからです。