甲状腺がんの手術において、切除範囲が大きければ大きいほど、甲状腺機能の低下、副甲状腺機能の低下、反回神経の麻痺など、合併症のリスクが高くなります。 甲状腺を切除することによって甲状腺の組織が減ると、甲状腺の機能が低下し甲状腺ホルモンが分泌されなくなります。
甲状腺を全摘出したらどうなる?
甲状腺を全摘すると、近傍にある副甲状腺もダメージを受けたり、一緒に摘出されてしまったりします。 1つ正常の副甲状腺がダメージなく温存されれば、副甲状腺機能は維持されます。 または、摘出されてしまった副甲状腺を細かく刻んで2腺以上筋肉内に自家移植すると、90%以上の方が、副甲状腺機能は回復します。
甲状腺摘出の副作用は?
甲状腺がんの手術では、切除範囲が大きいほど、甲状腺機能の低下(甲状腺ホルモンの分泌不足)、副甲状腺機能の低下(血液中のカルシウムの不足)、反回神経の麻痺(声のかすれ)などの合併症のリスクが高くなります。
甲状腺を摘出すると甲状腺刺激ホルモンの分泌はどうなるか?
甲状腺疾患を発症し、甲状腺を全摘出した場合、甲状腺ホルモンを分泌する器官がなくなるため、レボチロキシンと呼ばれる甲状腺ホルモン製剤を内服して不足を補うこととなります。 全身の代謝に関わる甲状腺ホルモンにはプロホルモンであるTと生物活性があるTの2種類があり、レボチロキシン(LT)は前者の合成T製剤になります。
甲状腺切除後の症状は?
術後は、一生涯甲状腺ホルモン薬を内服する必要があります。 稀に、声帯麻痺(声がかれたり飲食でむせたりする)や副甲状腺機能低下(血液中のカルシウムが低くなり手や顔面がしびれる)という合併症が起きることがありますが、多くは一時的で時間とともに回復します。